不登校・ひきこもり、雇用不安、自殺の増加——
経済や文化の違いを越えて、日韓の若者を取り巻く課題は共通しています。
第13回 日韓若者フォーラムでは、両国の当事者と支援者がオンラインで集い、
若者の「孤立」と「再出発」をめぐって実践と対話を重ねます。
◆背景
日本では文部科学省の調査によれば、不登校の小中学生が2023年度に約30万人を超え、過去最多を更新しました。しかも、その傾向は低年齢化しており、小学校低学年から学校に通えなくなる子どもが増えています。
高校や大学に進む前の段階で学びや人間関係から切り離される若者が増え、社会参加のきっかけを失うケースが目立っています。
また、内閣府の調査では、日本国内の「ひきこもり」状態の人は15〜64歳で146万人にのぼり、そのうち7割以上が5年以上の長期化を経験しています。
一方、韓国では「競争社会」と呼ばれる教育・雇用環境が若者の孤立を深めています。OECDの統計では、韓国の若者失業率は依然として高く、非正規雇用の拡大も不安定さを助長しています。さらに、自殺は若者世代の死因の第1位であり、孤立や絶望が社会の根深い課題となっています。
韓国では「ひきこもり青年支援条例」が地方自治体レベルで広がりつつあり、光州市をはじめとする複数の都市で条例化が進んでいます。日本に比べ制度的な対応は早い一方で、依然として競争原理や格差意識(いわゆる「スプーン階級論」)が若者の心理的負担を重くしています。
両国に共通するのは、家庭や学校だけでは支えきれない若者の孤立が拡大していることです。ただし、その背景や表れ方は異なり、日本では不登校・ひきこもりの長期化が深刻であり、韓国では若者の過剰な競争・雇用不安が根本にあります。
だからこそ、日韓双方の知見を持ち寄り、「どうすれば若者が再び社会につながれるのか」を議論することに大きな意味があるのです。
◆概要
日韓若者フォーラムは、2013年から始まり、日韓両国の若者支援に携わる当事者・家族・支援者が集まり、経験や知見を共有してきました。
第13回となる今回は、オンライン形式で「若者がつなぐ日韓友好の絆」をテーマに開催します。
【開催日時】
2025年11月25日(火)15:00〜17:30
※14:30〜15:00は事前接続・受付となります。
【会場】
オンライン(Zoomウェビナー形式+ブレイクアウトルーム)
【プログラム】
15:00〜15:10 開会・主催挨拶
15:10〜15:30 基調講演 ユ・スンギュ(韓国「怖くない会社」代表)
「孤立・ひきこもりの若者たちには、誰かの役に立つという多様な経験が必要だ」
15:30〜15:45 当事者ストーリー 光州×K2プロジェクト動画/マイ(キム・ミンウ)さんのストーリー
15:50〜17:00 分科会(3室)
17:00〜17:25 各グループ共有
17:25〜17:30 クロージング・今後の案内
◆分科会テーマと趣旨
1.居場所支援
背景
日本では「フリースクール」や「子ども食堂」、韓国では「地域センター」や「市の支援拠点」が増えていますが、単に空間を開くだけでは若者が継続的に関わることは難しい状況です。孤立が長期化することで学びや働きへのステップを失うケースも少なくありません。
論点
・若者が「行きたい」と思える場づくりの工夫
・居場所での役割づくり、関係性の形成
・長期滞留化を防ぐ仕組みや出口設計
・居場所から進学・就労へつながった事例
狙い:「居場所」をただの安全空間ではなく、成長と変化に向かう機能的な場としてどう設計するか、日韓の経験を比較しながら議論します。