K2インターナショナルグループ(代表 金森克雄)は日本地域福祉学会 第31回大会におきまして、地域福祉優秀実践賞を受賞しました。
この賞は、全国各地でおこなわれている地域福祉に関する優れた実践を掘り起こし、ひいては我が国の地域福祉の一層の発展と向上に寄与することを目的として、地域福祉に関する優れた実践に対して顕彰されます。
以下受賞の際の講評になります。
K2インターナショナルグループ(神奈川県)
K2インターナショナルグループの出発は、1989年設立の「不登校やひきこもりなど、社会に馴染みにくい若者を支援する民間の若者支援団体」である。当初は企業のCSR活動としてのヨット航海による若者支援でスタートし、NPO法人となるとともに、若者の雇用を開発する社会的企業として発展している。自治体との共同事業も増える傾向にあり、若者サポートステーション事業をはじめ、公的な若者相談・支援の受け皿を担っており、相談実績は、年間3000件にも及んでいる。生活困窮者自立支援制度や障害者就労支援への対応も含め、また制度の制約については自主事業として補完し、継続・発展させるという社会的企業型の地域福祉事業を実施していると評価した。
若者への効果的な支援としては、通所型プログラムと合宿型プログラムの多面的な支援を用意し、若者の多様な困難に対応するための効果的なプログラムの取り組みがなされている・就労や自立への多段階的なメニューが確立されている点は、独創性の基準から高く評価できる。一種の「ケア付き就労」とも表現できるものである。合宿型プログラムについては、職員を含む共同生活により安定した生活習慣や仲間づくりの機会が提供され、就労までのトータルな支援が確保され、困難を多く抱えるケースにおいても成果を生み出している。
地域福祉での成果においては、グループの事務局のある横浜市磯子区根岸での地域に根差した働く場の開発やコミュニティづくりが重視されている。地域に根差した食堂などの事業においては、財源確保のための事業であるとともに、K2を利用する若者の雇用創出の場であり、低廉な価格での食事の提供にも貢献し、コミュニティづくりの場を展望したものとなっている。こうした事業の展開は、参加性の面から評価できる。
グループ組織には、株式会社K2インターナショナルジャパン、認定NPOコロンブスアカデミー、特定非営利活動法人ヒューマンフェローシップなどが含まれる。グループ組織による多様な問題への多様な組織による対応という点でも新規性をもつ。グループ内には、社会福祉士や看護師などのスタッフが配置され、ソーシャルワークやメンタルヘルス等に関する専門性についても配慮されている。記録において、こうした専門的な支援を基盤とした多様なプログラムの展開における効果の実証的な試みがなされている。